やぐるま荘
朝倉市にある原鶴温泉は、W美肌の湯で知られる温泉地です。九州北部豪雨の翌日には、多くの店舗が地域の方に向けて温泉の無料開放を行いました。そのことをニュースなどで見聞きした方も多いのではないでしょうか。当時いち早く温泉の無料開放を行った「やぐるま荘」の代表、師岡さまにインタビューをさせていただきました。
原鶴温泉についてはこちら
- 店名
- やぐるま荘
- 住所
- 朝倉市杷木久喜宮1890-1
- TEL
- 0946-62-0700
- URL
- http://yaguruma.jp
師岡 哲也さん
やぐるま荘 代表
PICK UP
楽しむことをがまんしないで。
若い人達と触れ合う事で地域の方は元気をもらえます。
朝倉市の人達はとても良い人が多いです。
いろいろな方に朝倉市の人の良さを感じてもらいたいです。
以下のインタビューは2017年9月に実施。
― いち早く温泉を開放されましたが、そのときの心境や様子を教えてください。
師岡さん(以下敬称略):
あのときは、"旅館が出来ること"、"自分の出来ること"を考えて、最初に思いついたことが温泉の無料開放でした。お風呂に入ることは衛生面で役立つと思いましたし、何より地元の方に癒されてほしいという気持ちで・・。
豪雨のとき、原鶴温泉は土砂の被害はなかったのですが、浸水被害がありました。そのため10日ほど休業された旅館もありましたが、うちの旅館のように、浸水はあってもその日のうちに出せるくらいで済んだところが多かったようです。
豪雨の翌朝は、まだ被害状況もよく分からなかったのですが、何かしなければと思って、早朝に原鶴の旅館組合に行きました。すると、事務局長がすでに来ていて温泉を開放したいと伝えました。その後は、事務局長がインターネットなどを使って地域の方にその情報を発信してくれて。
初日で200名ほどの方が温泉に来られました。また、同じように無料開放をしてくれる旅館がどんどん増えて、最後にはほとんどの旅館が開放することになって。今も受入れを続けていると思いますよ。
豪雨の直後は、お風呂に来た方には泥が髪に入っていたという方もいました。あのときはたくさんの方に喜んでいただいたと思います。その後も、利用者は日を追うごとに増えました。ヘリコプターで救出された方たちが来られたこともありました。多いときは、400人ほどの方が来られたと思います。
その後日が経つにつれて、温泉は交流の場になっていきましたね。地域の方の憩いの場でしたし、無事を確認し合う方もいらっしゃいました。一時期は、寄附された支援物資を渡す場にもなって、着の身着のまま、泥だらけで温泉に来た方に新しい服を使っていただくこともありました。
今も原鶴温泉の一帯で無料開放を続けています。
ボランティアに来た方にも使っていただいていますよ。
― 現在の心境について教えてください。
やはり、早く普通の生活に戻って欲しいですね。
被災された方が、暖かくして布団で眠れるように。早く日常に戻ってほしいと思っています。豪雨があったのは夏でしたが、あれだけの雨が降ったためかとても寒く感じました。
まだ、避難所で生活されている方もいます。家は大丈夫なのですが、帰る道がまだ使えなくて避難所での生活をされている方々です。少しでも早く被災した方達が自分たちの家で暮らせるようにと祈っています。
― 地域の絆を感じたことはありますか。
支援物資に対しても皆さんが遠慮したり、譲りあったという話を聞きました。また、私どもの旅館には、避難所からお風呂に入りに来た方もいたのですが、避難所のお風呂は高齢の方やお子さんを優先させるなど,お風呂の譲り合いが多くあったそうです。
朝倉市は,もともと甘木市、朝倉町、杷木町の3つの市町の合併によりできました。原鶴温泉のある杷木へは、甘木から30分ほどかかるのですが,甘木の方々が次々に支援に来てくれました。あのとき、この地域では地元の人で巡回(青色防犯パトロール)をしていたのですが、被災地域の方はまだ家が大変だからと、甘木の方たちが引き受けてくれたんですね。
わざわざ資格も取って、この辺りの巡回をしてくださいました。消防団だけでなく、いろいろな方々が駆けつけてくれました。以前は30分先の甘木は少し遠いかなと思ったのですが、今はとても身近に感じます。
朝倉市の人達はとても良い人が多いです。いろいろな方に朝倉市の人の良さを知ってもらいたいです。
― 今後の朝倉市に必要なものとは
物資の支援を十分にいただいたので物資は足りているのではないかと思います。ただ、消防団の方も大変頑張ってくれているのですが、ボランティア数がまだまだ不足しているように思います。
被災直後は、足りないものを自分たちで作る工夫もしました。例えば、自分たちでスローロープ(救助用のロープ)を作って近くの小学校に配ったり、ライフジャケットの貸し出しを行ったりもしました。今回の災害からいろいろと必要なものが見えてきましたね。
でもやはり今は、一番の支援はボランティアに来ていただくことだと思っています。
― 被災後の原鶴温泉の状況について
やはり、予約のキャンセルで苦労している旅館が多いですね。
私どもの旅館も、豪雨の翌日からキャンセルの電話が続いて、9月の予約が一度、全部無くなるほどでした。幸いなことに、8月は学生さん達が夏休みでしたから、ボランティアの利用が多くありました。しかし、9月以降はやはり厳しい状況です。
一部の旅館では、県が「ふっこう割」を実施しましたので、お客さんが戻ってきているのですが、ふっこう割の対象でない小さい規模の旅館は厳しい状況だと思います。これからは秋の観光シーズンです。原鶴温泉には小さいですが魅力的な旅館もたくさんあります。ぜひいろいろな旅館や温泉に足を運んでいただきたいです。
- やぐるま荘の魅力は何でしょうか。
私どもの旅館は,名湯百選に選ばれた源泉かけ流しの自慢の温泉があります。
また,最近は自転車の宿として個性を出しています。私が自転車好きなもので・・。朝倉市の道もきれいになりつつあり、ヒルクライムや川沿いを走ることもできます。ぜひ気持ちよいサイクリングを楽しんで頂きたいと思います。
― Webサイトを通して伝えたい事
今の朝倉市は、大きな打撃を受けています。しかし、楽しむことを忘れないでほしいと思います。今でもどこか、お酒を飲むのも遠慮するようなそんな雰囲気があるように思います。遠慮をせずに楽しんでほしい、そう思います。
また、この地域にはお年寄りの方が多いので、若い人が来てくれるだけで元気づけられると思います。遠慮をせずに笑顔を振りまいて欲しいと思います。「元気ですか」の一言でもうれしいですね。
若い人達と触れ合うことで、元気をもらう事ができるので、ぜひ立ち寄ってください。
やぐるま荘ではサイクリストの方にとって嬉しいサービスがたくさんあり、山登りなども!
現在は休止中ですが、カヌーやサップの体験も!運動をした後に温泉で体を休めることができます。
ボランティアの方向けの宿泊プランもありますので、ぜひご活用ください!
このページは私が担当しました!
いけま
朝倉市の方々は本当に良い方が多いとインターンを通して感じました。今回のインタビューでも、被災の状況下で譲りあうなど地域の絆を深く感じることができました。風情のある景色、暖かい人たちなど、様々な魅力のある朝倉市が少しでも早く元の状態へ戻るよう、私たちのWEBサイトが少しでも役に立てればと思います。少しでも早い復興、そして被災された皆様が元の生活に戻るようお祈りしています。