酒造篠崎
国菊酒造「篠崎」は、人気商品の甘酒を中心に日本酒や焼酎、リキュールを製造しており、お酒のみならず、麹を使った商品も扱っています。先の九州北部豪雨では浸水により大きな被害を受け、現在は限られた商品の出荷となっていますが、現在も復旧への努力を続けられています。被災して2ヶ月後には甘酒づくりも再開されました。 今回は、経営企画部長の篠崎さまにお話を伺い、現在の状況や心境について尋ねました。
- 店名
- 株式会社酒造篠崎
- 住所
- 〒838-1303 福岡県朝倉市比良松185番
- URL
- http://www.shinozaki-shochu.co.jp
篠崎 倫明さん
株式会社酒造篠崎経営企画部長
PICK UP
皆さんには、無関心にならず興味を持ってもらいたい。
多くの方に災害の状況を伝えることももちろん必要です。
しかし、朝倉市は安心して来られる場所です、 ということもぜひ伝えてもらいたい。
以下のインタビューは2017年9月に実施。
― 大雨の震災を受けて約2か月が過ぎました。
その日から復興に向けた活動を続ける中で心境の変化などはありましたか?
篠崎さん(以下敬称略):
心境の変化という意味では、自分で言うのもなんですが、強い心をもって経営しているつもりですから、何かあったからと言って自分の信念や考え方が揺れ動くようなことは基本的にはないつもりです。ただ、いっそう自分の想いを強くしたように思います。地域の皆様と一緒に復興していくんだという気持ちもより強くなりました。
また、個人的な気持ちではありますが、今回のことで大事なものについて考える機会を得たように思います。「公の心」というのでしょうか。私どもの会社は田舎にある中小企業で、地域の皆様に支えられて商売をしています。
そのため、自社の売り上げや利益だけではなく、地域の皆さんに企業として寄り添うことを強く感じました。朝倉市の復興は、まだ終わりでなくまだ道の途中です。その中で、企業としてできることをやっていきたい、地域の皆さんの手助けをしたいと思っています。
― 豪雨によって、篠崎の工場内に1メートル近くの泥が入りこんだと聞きました。お店の泥だしの作業では、ボランティアの受け入れをされましたか?
うちの会社は、社員も結構いますので、最初の1週間くらいはまずは従業員の皆様の安全を確認し、その後の作業となりました。そしてまず、民間のお宅でのボランティアをしています。自分たちの作業とは別に、最初の1週間から外回りでボランティアをしましたね。
私は、営業を統括しているのですが、営業の部員を中心に外回り部隊を作って、地域の皆様の家に伺って、床や畳をはいで泥をかきだすような作業などを8月のお盆くらいまではずっとしていました。口だけではなく体で示したい、そういう想いがありました。
― 災害によって実感した朝倉市の良さや絆はありましたか?
自分たちが会社のメインとして作っている甘酒などについて、“待っとるけんね!”などと声をかけてくれる方々がいます。それがやはり嬉しいですね。
また、私たちも豪雨のあった当日の夜から、周りのお宅に邪魔にならない範囲で、泥かきとかをやらせていただきました。人に求めるというより、自分たちが積極的にできる限りの努力をする。その気持ちでやっていただけなのですが、やはり感謝されることもあり、それは嬉しく思いました。
― 朝倉市の復興はまだ終わっていないと思うのですが、これからの朝倉市復興に向けてどのような支援が必要だと思いますか?
今回の九州北部豪雨では、被災しているエリアが偏っていました。人が必要な状況はもちろんありますが、人だけではなくお金とかも必要になってくると思います。
今後の復興は、1年2年の話ではなく、5年10年のスパンで考えなければならないと思います。そのため、長期的に支えてくれるような支援体制のようなものを皆様に考えていただければと思っています。
― 今回私たちはウェブサイトを作成して、朝倉市の状況を伝えたいと思っています。
その中で伝えたい事、紹介してほしいことはありますか?
取材に来ている皆さんが来たいと思えるようなサイトを作っていただければいいのかなと思います。朝倉市がこれだけの被害を受けましたとか、こんなことが起こっています、のように災害の状況を伝えることももちろん必要です。しかし、朝倉市は安心して来られる場所です、ということを、まずは伝えていただけると嬉しいですね。
(取材に来ている)皆さんには無関心にならず興味を持ち続けてほしいです。インフルエンサーという言葉があるように、興味を持って発信してほしい。“ここに来て、これがおいしかった!”などを気楽に発信してもらえると、本当の意味での支援になるのではないかと思います。
― 活動の中で苦労した事は多いと思います。
その状況の中でも、嬉しかったことや得られたものなどはありましたか?
災害によって、いろいろな方が被災を受けている状況で、良かった悪かったとは正直なところまだ言える状況ではないと思っています。
ただ、私たちの会社にとって一つ得るものがあったとすれば、復興するということで、従業員が一丸となって事に当たることができた、ということかもしれません。私たちにとって、「復興」は一つの大きな目標、逃れられない目標になりました。この目標に向けて、私たちは口だけじゃなく、体を動かして頑張っています。仲間で心が通じ合って、一つの目標に向かって一致団結して動く。それは、以前のわが社には無かった雰囲気だと思います。
このページは私が担当しました!
とみー
今回篠崎さんにお話を伺ったことで、被災してからどのような活動をしてきたのか、
復興に向けての地域の方々のつながりなどについて知ることができました。
まだ元の状態に戻っていない地域も多くあり、避難生活を続けている方もいらっしゃいます。
少しでも多くの支援が必要な朝倉市に私たちにできることは、皆さんが来たい!と思えるようなサイトを作り上げ、安心して来られる場所なんだ!と伝えていくことだと思います。